2021年1月9日、友人に紹介してもらった埼玉の陶芸教室へ手びねりろくろの一日体験に行ってきました。道の駅川場でろくろ体験した15分の教室とは違い、今回の陶芸体験は午前10時から午後5時まで一日がかりで花器作りに挑戦。先生のやさしい手ほどきのおかげで、土を練るところから始まり形作りの完成まで導いていただきました。

工房を訪ねてみた

川場田園プラザろくろ体験教室

先日、埼玉に住む友人に、川場田園プラザで陶芸体験をした話をしたところ、「naoko、陶芸の話するときいい顔してるね。それならうちの近所に陶芸工房があるから、習っちゃいなさいよ」と友人。いやいや、そんな急に会員制のお教室までは…と思ったのですが、行動力バリバリの友人に半ば強引に連れられ工房を訪ねてみました。
 
すると、雰囲気があって感じのいい女の先生が迎えてくれました。年は70歳前後といったところでしょうか。「体験だったらいつでも都合のいいときにいらっしゃい。来るときにどんなものが作りたいか、画像かスケッチを持ってきてね。お待ちしています」
 
さっきまで尻込みしていたのに、一気に気持ちが軽くなり、「陶芸、やってみようかな」と思った瞬間でした。グイグイリードしてくれた友人に心から感謝!

陶芸一日体験を受講

陶芸教室

友人は「善は急げよ。やりたいときが始めどき。こういう時はスタートダッシュが大切なんだからね」そんな最高の友人のプッシュもあり、仕事がお休みの日に即工房へ出かけました。「あら~、naokoさん、よく来てくれたわねー」と明るく迎えてくださる先生。まずはエプロンを付けて、この日は一日がかりで陶芸を体験します。
 
先生が「さて、naokoさんは何を作りたいの?」。初心者だけどダメ元で「まんまるの花瓶を作ってみたいんです」と思い切って言ってみたら「おー、いいじゃない」と返事が返ってきました。あまりにサラッと言ってくださるので「初心者なのに本当にこんな大作やってもいいんですか?」と確認したら「だって、欲しくないもの作ったってしょうがないでしょ?」とニッコリ。うれしくなって、いきなりやる気も倍増です。

釉薬に合わせた土を選んでもらう

赤土の粘土

はじめに1キロ分の粘土を先生が計って切り分けてくれます。どんな色の土にするかは、何色の釉薬(ゆうやく)を使うかによって決めるのだそうで、私は大好きな黄色の花器を作ってみたい、とお伝えしたところ、「それなら信楽のN白(えぬしろ)だな」と先生。

選んだ粘土は信楽のN白

信楽N白

大きな粘土の塊(かたまり)から針金のような道具で切り分け。受け取ったのは、白っぽいねずみ色の粘土でした。「へぇ~、これがNシロっていう粘土なんだなぁ」
 
「まずは、粘土をこねてちょうだい。塊から切り分けた粘土は表面は硬く、中が柔らかいから、何度もよく練り込んで、粘土の硬さを均一にしてほしいというわけなの」そう言って先生が「いい?見ててね、こうやるんだよ」と先に見本を見せてくださり、「はい、じゃ、やってごらん」とバトンタッチ。

粘土をこねる

粘土をこねる

わ~!粘土を練るところからさせてもらえるの!?と私は心のなかで叫びました。粘土をこねる作業は、いちばん憧れの作業だったので、「腕が痛くなるかもよ?たいへんだけど、がんばってね」と先生が言ってくださったけど、こっちは嬉しくてうれしくてスキップしたいくらいの気持ちです。
 
練って練って練り込んで。だけど水分が多い粘土は板によくくっついて、パカパカと音を立てます。「くっついちゃう?うまくなってくると、板にくっつかなくなるのよ」と教わります。私も早くそうなりたい!と、ひたすら粘土を練って練って…
 
菊練り3年という言葉があるとかで、早くても1年はかかるという菊練り(きくねり)も、見よう見まねで挑戦してみます。粘土は30回ほど練る作業を1クールとしたら、それをさらに10回以上繰り返し練るようにとのことでした。しかしあまり長く触りすぎると今度は手の熱で水分が抜けすぎてボソッとしてきてしまうとかで、頃合いがあるようです。

手びねりで陶芸作品作り

手びねりろくろ

楽しい土練りのあとは、いよいよ作品を作っていきます。最初に手びねり用のろくろの上に土台を作り、ヒモ状にした粘土を重ねて、つなぎ目が目立たないように馴染ませながら土を重ねる。先生の説明とお手本を参考に粘土を積み上げていきます。

先生の手は魔法の手

手びねり陶芸

どんどん同じ作業を繰り返し、だんだんと形が現れてきました。しかし、上に行くほど口をすぼめていきたいのに、逆にどんどん広がってしまいます。左右がゆがんでいる気もします。
 
そんな困った様子を察して先生が見にきてくださり、さりげなく作品に触って微調整してくれます。どこをどう触ったのかよくわからないのに、不思議に歪みが直ってバランスも取れてきます。ん、まさに魔法の手だなあ。

丸みの出し方

器の丸みを出す

「口をすぼめる前に、木でできた道具(まがたま型コテ)で内側からなでて作品に丸みを出していきますね」ともう一つの手は外側を支えるようにして円を描くように何度か撫でていくとふっくらと丸みが出てきました。すごい。当たり前ですが、すべてが勉強になることばかり。

バランスを見ることが大切

陶器バランスを整える

丸みが出たところで、花器上部の粘土を再び積み上げて、全体のバランスをよく見るようにと教えていただきました。先生がこの日、最初から最後までしきりに言っていたのは「バランス」という言葉。なるほどねぇ。陶芸には全体のバランスがとても大切なんだ。
 
なんとかバランスも整ったところで、口の部分をきれいな丸に開けました。これで形作りはひとまず完成。このあとは、金属の付いた器具(コテベラ)を使って、表面をきれいに削り整えます。この時もバランスを良く見て作業を進めます。

仕上げ

花器形成完成

ろくろを片手で回しながら、その回転を利用して粘土の表面を整えていきます。粘土があまり柔らかいと型くずれしたり、削りずらいので、そういう場合はドライヤーを使って粘土を固めて作業を行なうことも教えていただきました。
 
裏返して高台部分周辺も整えたら、形作りが完成。ギリギリまで時間をたっぷり使ってどうにか仕上がりました。丁寧にわかりやすく、ほめて育ててくださる先生のおかげです。形作りが出来上がった花器は遠目に見てみると手前味噌ですがなかなかいい感じ。こんなの作れちゃうなんてすごいなあ。

片付けも大切な作業の一つ

後片付け

出来上がった作品は棚においてよく乾かし、ある程度皆さんの作品が集まったらまとめて素焼きを行ない、そのあと色付けをして本焼きをするそうです。作品を棚にしまったあとは使ったお道具とテーブルの後片付けのやり方を教えてもらいました。
 
道具に付いた粘土を桶(おけ)の水できれいに洗って、さらにきれいな水で2度洗い。粘土や釉薬が混ざった水は下水に流すことができないので専用のバケツの中へ。所定の位置に道具を片付けテーブルを拭いて、使ったタオルを洗って干して…。片付けが終わったあとは気分もスッキリです。

即入会を決めました

本日の体験は粘土が付いて5,500円でしたが、あまりにも楽しかったので、そのまま帰りには即、入会を決めてきてしまいました。けっきょく、体験を繰り上げ、その日からの入会という扱いにしていただき、1か月のお月謝と粘土代をお支払いして、「ありがとうございました。とても楽しかったです」

入会記念におちょこをいただきました。

おちょこのプレゼント

すると先生が、作品が並んだ棚の中から好きなものを1つ私にプレゼントするから選んでいいと言ってくださいました。「おちょこをいただきたいな」と言うと、先生が「私はこんなのが好きなのよ」と言って差し出した作品が、力強くて個性的なおちょこでした。「ではそれにします。ありがとうございます」。1日目の陶芸教室は盛りだくさんでした。
 
今回仕上げた花器はしっかりと乾燥させたあと素焼きしていただけるそうです。楽しみ!

あーー!!乾燥させていた花器の底にヒビが入ったー!

花器のひび割れ

ショックー!初回作の花器を形成した翌週に再び工房を訪れると、素焼き待ちで乾燥させていた花器の底の部分にS字のひび割れが入ってしまっていました。先生は「これはやっかいかもよ~。一応私が処置してみるけど、もしもダメだったら土に戻すしかないかもしれないなぁ」だってぇ~。
 

1か月後、作った花器が土になって戻ってきました…

粘土の袋

陶芸教室1日目に作った底にヒビが入ってしまった花瓶ですが、6回目の陶芸教室の時にとうとう土に戻って返ってきました。「naoko様」と書かれている大きなビニール袋を渡していただきました。

「焼く前にヒビが見つかったのはよかった」と教えていただきました。

再生させた陶芸粘土

ビニールを開けてみると、濡れたタオルに包まれた粘土がありました。「粘土に戻れただけ良かったですよ。焼いてしまってからヒビに気がついた場合はもう土に戻らないから捨てるしかなくなっちゃうもんね」と教えてくれたのは先輩生徒さんの女性。「なるほどね。乾燥段階でヒビが見つかってよかったのね」

また同じデザインに挑戦したい

陶芸の土

またこの土を使ってあのまん丸な花器に再チャレンジしてみよう。一度作っているから、今度は少しスムーズに作業が進むはず。土を練るのも楽しみだわ。と、制作意欲が湧いてきました。

7回目の陶芸教室でまん丸花器に再チャレンジ!