2021年1月25日。陶芸教室3回目。教室に通って6年になるという大先輩の年配男性が「もう今年のは遅いかもしれないけど、お雛様とか、季節ものを作るのもいいですよ」と教えてくださり、「あ!そうか。お雛様は1月に入ってからだともう遅いんだ?!」と気づかされた私。ところが先生が「naokoさん、お雛様、今から挑戦してみる?」って言ってくださったので、もちろん「はい!」と即答。

デザインを決めたら粘土選び

陶芸粘土の切り分け

「いつもは生徒さんの作品がたくさん集まったら窯に入れて焼くんだけど、お雛様は季節ものだから、ひな祭りの日に間に合うように特別に先に焼いてあげるからね」と言ってくださる先生。なんて優しいのかしら…
 
「どんなお雛様を作りたい?」といってサンプル画像を見せてくださいました。たくさんあるので迷いましたが、「お!?」と思うものが目に止まり、それを作らせていただくことにしました。「焼き上がりの感じはテカテカした感じ?それともザラッとした土を生かした感じがいい?」と聞かれて、はじめは「土を生かした感じがいいです」と答えました。それを聞いて先生が土を出して選びはじめました。

4色の粘土を組み合わせて作ることにしました。

陶芸用粘土3色

「一つの粘土を1キロ渡すのが普通だけど、今回はうまく計って3つの粘土を組み合わせて1キロにしてあげるからね」袴用の黄色い土は、笠間の土だそうで、焼くと赤っぽくなるんだとか。そして着物に使う赤い土は鉄分を多く含んでいるんだそう。そして髪の毛用の黒の土少々。黒い土はほかの土と比べて少し高価(値段が高い)だそう。あとは、前回花器を作った時に残っていたエヌ白を顔や土台に使うことにしました。それぞれの粘土をよく練って準備をします。

最初の作業はおちょこを作る要領で土台作り。

陶器男雛土台づくり

はじめに黄色い笠間の土を使って袴の部分を作っていきます。中を空洞にしたほうが乾きがいいのでおちょこを手びねりで作る要領でヒモを作っては上に重ねていきます。
 
だいたい袴の高さが出来上がったら、次は上半身の部分をエヌ白の粘土を使って積み重ねていき、最後口を閉じるところで、メモ帳をストローのように折って男雛の首の部分に挿し込んで、風船をふくらませるようにフーッと息を吹き込んでふっくらさせます。ヘラで叩きながら形を整えます。

黄色い笠間の土で袴(ハカマ)を作った。

お雛様ハカマづくり

黄色い粘土の袴の部分をさらに袴らしくヒダを付けるようにカギベラやヘラを使って溝を作っていきながらふっくらとした風合いを出すように作っていきます。肩の部分には柔らかい粘土を継ぎ足して、肩を張らせて男性の体を表現していきます。

頭を付けたあとは襟(えり)づくり。

粘土襟づくり

粘土が硬くなりすぎないうちに胴体に頭を付けます。体のてっぺんの真ん中に直径3ミリほどの穴を開け、そこに突起を付けた頭を差し込んで粘土で細い紐を作って接着し、胴体に頭を固定します。
 
頭が固定できたら飾りの襟をつけていきます。エリは上にかぶせる着物でほとんど隠れてしまいますが、丁寧(ていねい)に重ねることで首のところから色がのぞくので、手抜きしないで作っていきます。
 
ここまでやったらお昼休憩。この日は簡単に作ってきたお弁当をいただきました。

タタラ粘土で着物を作る。

陶芸男雛 着物の型採り

12時45分、午後の作業開始。黄色粘土の袴とエヌ白の粘土で作ったがっしりとした上半身に襟をつけた本体に次は着物を着せます。着物は襟とは色を変え、男雛のサイズを図って型紙を作り、赤い土をタタラに伸ばしてカットしました。タタラ粘土に頭が通るくらいの穴を開けて着物をかぶせて脇を閉じるように接着します。
 
着物を着せたあとは、着物の上から2枚のタタラに伸ばしたお袖をつけます。袖は半月型に作った型紙を元に2枚の袖を切り出しちょうど両手を合わせているように中央にバランスよく貼ります。

耳を作って髪の毛を乗せました。

お雛様の髪の毛を付ける

冠をかぶせる前に耳をつけて黒の粘土で髪の毛をつけました。今回は目・鼻・口はつけない雛人形を作りますが、耳と髪の毛が付くと急に表情が出てきたように感じます。
 
午後3時になったのでお茶の時間。この日はチョコレートクッキーの差し入れがあり、私もハンドドリップセットを持参して、皆さんに珈琲を淹れてさしあげました。和みのひととき。

冠(かんむり)と笏(しゃく)をつけました。

男雛の白化粧

和みのひとときが終わって再び男雛づくり。頭に冠(かんむり)をかぶせて笏(しゃく)を持たせます。笏は棒状のちょうどバランスが良い大きさに粘土をカットし、型で模様をつけました。
 
髪と同じ黒の粘土で冠を作ってかぶせ、冠の後ろに薄い羽根状の纓(えい)を付けるのですが、先生が「真っすぐのものにするか、先端を少し曲げるかは自分でいいと思うほうにしていいですよ」ということ。まっすぐは天皇のもので先が巻いているのは他の皇族だということですが、真っすぐのほうがしっくりきたので、そちらにしました。

家紋風に着物に模様をつけた

陶芸男雛 後ろ姿

最後に笏に白化粧を施し、模様が浮き出るようにして、同じ白化粧で紋を白く塗りました。手を加えていくうちにどんどんお内裏様らしくなってきました。

乾燥前のサイズを図っておくことが大切。

陶器の男雛の大きさを図る

切れ目の雑な部分や張り合わせたつなぎ目を自然にスポンジでならしたり、襟ぐりの粘土のカスをきれいに掃除して男雛がやっと完成しました。
 
乾燥すると2割ほど縮んでしまうので、次にお雛様を作るときのために、お内裏様のサイズを図っておくことが大切、と教えていただきました。お雛様をお内裏様の肩のあたりのサイズに作るとベストだということです。なるほどねぇ。それはサイズを測り忘れちゃったら大変だ!油断できないことがいっぱいあるなあ。
 
お相手のお雛様ができるまでお内裏様にはお待ちいただきますね。可愛いお雛様にしますから楽しみにしていてくださいな。

お内裏様のかわいいお相手を作りました。